本格的に取り組みたい、取り組まなければならない、と考えている企業の担当の方も多い「コストの削減」。
しかし、具体的にはどのような事から手をつければいいのか?と迷ったり悩んだりしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
また、取り組むにあたって社員へはどんなふうに説明しようか、などコスト削減についての悩みは尽きませんね。
このコンテンツでは、「コスト削減って、そもそも何をすればいいの?本当に効果はある?社員にはどう説明したらいいかな?」といった様々なお悩みにお答えし、最後に成功例を併せて紹介します。
そもそも「コスト削減」とは?本当に必要?
コスト削減と一口にいっても、当然企業によって目的が違ってきます。大手企業で行う大幅なコスト削減から、ちょっとしたコスト削減まで。様々な方法やそれぞれに目指すものがあるでしょう。
中には、コスト削減についてネガティブなイメージを持つ社員や企業もあり、モチベーションを落としかねないのでは?と思うケースも少なくはありません。
まずはコスト削減のポジティブな効果を知り、「今、本当に必要か?」をしっかりと判断していきましょう。以下にメリットの例をいくつか挙げてみます。
- 実際に取り組んで成果が出れば社員のモチベーションは上がる
- 経費が削減できれば純利益は上がる
- 上がった純利益を賞与として還元できれば社員のモチベーションは上がる
- 成果達成の自信をつけた社員が協力すればチームワークが向上する
- 削減により生まれた利益を新事業に投資することで可能性が広がる
- 企業の体力と規模が大きくなる
ポジティブなコスト削減を進めていくと、このように企業や社員自身にとっていい影響が連鎖していくことになります。
コスト削減は、会社も社員も同時に良くなっていく可能性を持っているのです。
また、コスト削減とは一般的に、会社の経費の最適化に取り組むことと認識されていますが、その結果、適正な経費を設定して無理や無駄のない業務インフラを整え、社員の業務効率とモチベーションを同時に上げることこそがコスト削減の意義・目標となるでしょう。
具体的に企業で発生するコストは、設備コストやクラウド環境コスト、光熱費コスト、オペレーションコスト、節税対策などがあります。
具体的なコスト削減方法5選
それでは、先ほどご紹介しました5つのコスト削減の対象になる項目について、削減できる部分と目的を取り上げてみました。
- オフィス内の設備の見直しは社員の気持ちにも影響を及ぼす
- クラウド環境の変更は効率と利便性の向上
- 光熱費の見直しでムダな経費を省き利益を確保
- オペレーションの見直しで適材適所に人的リソースの配置
- 無駄な税金の見直しで節税対策
上記にあげた5つのコスト削減について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
オフィス内の設備を見直す
まずは、オフィス内の設備にかかるコストについて、削減可能な項目を改めて見ていきます。大きな判断項目としては、「現在のオフィスの規模自体が妥当な大きさなのか?」を見ていく必要があるでしょう。
例えば創業以来、変わらない事務所のまま年数が経過していると、現在の人員に見合わない広さになっているケースもあるかもしれません。
その場合は「現在の業務内容と人数構成に合った規模へ縮小する、事務所自体を移転する」といったことも1つのコスト削減につながります。
さらに、基本的な事ではあるけれど見落としがちな、「重複している報告書やファイリングをはじめとする保管スペースの見直し」、「会議や打ち合わせに使うスペースの見直し」なども有効です。
部署ごとの都合ではなく、会社全体で共有できる部分を再確認して共通理解のうえ、スペースの共有をしていきましょう。
その他、通信環境や書類のコピー代、事務用品の見直し等については、企業全体でのペーパーレス環境への取り組みが必要になってきます。増えてくる情報量と同じく印刷された資料を増やすことは、業務量を増やしていることに過ぎません。
オフィス内設備をシンプルに変えていくポイントとして、ペーパーレスで整理されたオフィス環境を目指すことこそ、働きやすさにつながるのではないでしょうか。
クラウド環境を変える
次に、クラウド環境を変えることでコスト削減につながる場合を見ていきましょう。自社でデータを管理するためのハードウェアを抱える状況からクラウド環境へ移管することは、コスト削減だけでなく、業務効率も上がることになります。
なぜなら、モバイル端末を含めたデバイスで社内データの共有ができるからです。Microsoft Office365で利用できるアプリケーション「Microsoft Exchange Online」では、大切な顧客データを一元管理できるPIM機能が使えるようになります。
※PIM…電話帳や住所録、自身のスケジュールなどを管理するアプリケーション全般を指す。
光熱費を見直す
続いては、見直してみると案外結構な節約になった…となる事の多い光熱費についてです。
業務上必要な機器は当然エネルギーが必要で、十分供給されていなければ稼働させることができません。そのため、極端な削減は職場環境にとって悪影響を及ぼします。
ただし、光熱費を下げる工夫はできます。経費として直接確認しにくい光熱費の場合、「この使用料は適正なのか?」と意識して見直してみるといいでしょう。それぞれの光熱費を見ていきます。
水道代
水道代については、基本料金として一定の金額を支払っていることから、節約することが困難になります。しかし現在、請求されている固定料金に対して、管轄の自治体に相談してみることも1つの方法となるでしょう。
自治体の設定では、上水道の使用量に対して下水道の料金が決まるのです。そのため、場合によっては下水道メーターの設置で正確な使用量が計測され、今までの水道料金が安くなることもあります。
ただし、正確な計測のためには、使用者負担で下水道メーターを購入することが必要になってきます。
電気代
電気代は、コスト削減しやすい光熱費になります。多くの企業で取り組んでいる節電では、「エアコンの設定温度の変更」などが挙げられるでしょう。その他、電力会社の料金プランの見直しや照明器具をLED電球に変更することも見直しになります。
ガス代
ガス代については、オフィスのあるビル全体での取り組みが必要になるでしょう。それは、ガス料金契約の1本化です。ビル内の店舗や事務所が個別のガス契約ではなく、1本化することでガス料金が安くなります。複数の企業が入っているビルなどの場合は、他の企業や店舗の理解と協力が必要になる方法です。
オペレーションの見直し
オペレーションの見直しは、主に人件費の部分になります。今まで当たり前のようにこなしてきた仕事を細分化して、再確認していくのです。
「適材適所で人員を配置できているか?」を念頭に置いて、社員のモチベーションを下げないように効率化を進めていくことがポイントになります。
また、人員配置を行う上でオペレーションの分析は必要になるでしょう。
少ない人材で運営している企業の場合は、クラウドソーシングを活用して、外注できる業務と自社取り組みの業務を明確に整理することをお勧めします。
節税対策
会社を設立してから、税金に対して見直していない企業も少なくありません。法人税や法人事業税、法人住民税だけでも役員報酬の設定の変更をするだけでも納税金額が減額になることもあるようです。
節税については、企業の運営状況により違うので専門の税理士に相談してみましょう。
いざ導入!気をつけるべきこととは?
では、実際にコスト削減を自社で導入する場合、どのような点に注意をすべきでしょうか?
コスト削減を導入するときに注意すべきポイントを取り上げてみました。
コスト削減自体が目的にならないようにする
経営陣にとって、コスト削減の断行は実際に経費の減少になるわけですから、有難い話ですよね。コスト削減を取り組み始めて、実際に成果が出てくれば継続したくなることでしょう。
ただし、コスト削減により出た成果の裏には、対照的な変化も生まれているかもしれません。それは、コスト削減により今まで行ってきた業務に支障が出てくる場合もあるからです。
コスト削減が上手く働き始めたからといって、末端への影響を確認しないで進めていくことで大きな業務負担を増やしていくことも考えられます。そのため、コスト削減自体を目的として進めていくのではなく、状況を見ながら判断していくことが望ましいでしょう。
経営陣と現場社員のすり合わせを行う
経営陣がコスト削減を現場に落とし込むこと自体、ネガティブに受け止められることは避けられない事かもしれません。現場社員は、慣れてきたルーチンワークに負荷をかけられることをあまり好みません。
そのため、経営陣はコスト削減を断行する前に現場社員にしかわからない業務の問題点や現状を理解しておく必要があるでしょう。しっかりと現場社員と現状確認を取り交わして、意識をすり合わせてからのコスト削減が理想的です。
コスト削減に成功した具体例
では、コスト削減に成功した具体的な企業を2つ紹介します。どちらも中小企業から大企業まで、実践が可能な内容となっていますので是非参考にしてみてください。
例1:ゆうちょ銀行
ゆうちょ銀行は、Microsoft Office365の利用によりIT環境を整備しました。その結果、テレワークの導入で社員の積極性を生み出すことに成功したのです。Office365の導入により、社員が社用端末デバイスを用いて、自分の生活スタイルに合わせた業務に取り組めるようになりました。
結果、能力のある人材を家事や育児などを理由に離職させず、ライフスタイルにあった働き方ができるようになったため、優秀な人材がしっかりと企業に定着し、人材教育に不必要な費用がかからなくなったのです。
→詳しい内容はこちら
例2:パーソルキャリア株式会社
転職メディア事業部では、クラウドサービスの活用により営業会議の在り方を改善しました。それにより、スピーディなクラウド会議ができコミュニケーションと効率を向上させることができたのです。
クラウド会議により、会議のための移動や準備などにかかるコストを削減できました。
→詳しい内容はこちら
まとめ
ここまで、コスト削減の具体的な方法や事例を紹介してきました。企業の取り組みとして、少しでも企業の改善点への気づきとなるととてもうれしく思います。
また、コスト削減を行う上で十分な現場社員との共通認識を得てからすすめる事ができると、企業も社員も同時に良くなる方向へ向かうこともお伝えしました。
コスト削減は目標を持って取り組めば、収益と社員のモチベーションを高めることが現実になります。皆さんもぜひ、可能な部分から順序よく取り組んでみてくださいね。