365日Officeライフ!
働き方のなやみ

2019.08.09

在宅勤務(テレワーク)のメリットって?企業事例やワーカーの声とあわせて解説します

近年、少しずつ耳にするようになった「在宅勤務」。働き方改革の一環として、2012年から2020年までに、テレワークの導入企業を「3倍に増やす」といった国をあげての施策なども進んでいます。
様々な企業が取り組み始めているこの在宅勤務(テレワーク)には、一体どのようなメリットがあるのでしょうか?
既に導入している企業の事例や、実際に在宅勤務でお仕事をしている方達の声とあわせて解説していきます。

在宅勤務ってそもそも何?テレワークとは違うの?

近年、在宅勤務という勤務形態が聞かれることが多くなってきましたが、在宅勤務とは一体何なのでしょうか。「テレワークという言葉も聞くけれど何が違うの?」と思われる方も多いのではないでしょうか。

この項ではまず、在宅勤務とテレワークの違いについて解説していきます。

  • 在宅勤務

まず在宅勤務は、テレワークの中に含まれる勤務形態を指します。
テレワークの中でも、企業に雇用される社員が、「自宅を就業場所として勤務する形態」のことを「在宅勤務」と呼び、一部のみを自宅で行うパターンと、全てを自宅で行うパターンに分かれます。
主な方法は、自宅にパソコンを設置し、勤務先のサーバーとインターネットを通じて情報の送受を行う方法です。

  • テレワーク

企業が雇用する社員が施設に依存せず自宅やサテライトオフィスなどで就業を行う形態の他、個人事業主や小規模事業者が行うSOHOや内職副業型勤務などを総称して、「テレワーク」と呼びます。
以上のように、テレワークと表現されている場合は、広く施設に依存せずに働く形態を指し、在宅勤務はあくまで一企業に雇用される形で、自宅にて就業する形態を指すと理解しておけば間違いないでしょう。

在宅勤務のメリット4つ

では、在宅勤務のメリットはどのようなものがあるのでしょうか?ここからは代表的なメリットを取り上げ、解説していきます。

通勤時間カットで心身ともにストレスフリーに

まず1番のメリットは、皆さんも真っ先に思い浮かぶかもしれない「通勤時間がなくなる」点です。
通勤時間に費やしていた時間をそのまま別のことにあてられますので、特に、自宅と職場の距離が遠い方ほど、大きなメリットを得られますよね。

また、通勤によるストレスがなくなる事も大きなプラスになります。多くの方が同じ時間帯に出勤しているため、都心に近づくほど、通勤時間帯の電車はぎゅうぎゅう詰めですし、自動車で通勤している場合は、道路混雑の影響を受ける場合もあります。
在宅勤務の場合は通勤時間がゼロになりますので、通勤中に受けるストレスももちろん、ゼロになります!

家事・育児や介護などとの両立がしやすくなる

通勤時間がなくなることで、今までできなかった自炊や洗濯も平日のうちにできるようになります。
小さなお子様がいらっしゃる方であれば、子供を託児所に預けずに自宅で見守りながら、出産前から勤めている企業で仕事を続けることができますね。

他にも、個人差はありますが、介護が必要な方がいらっしゃる場合でも仕事との両立も不可能ではないかもしれません。

採用や仕事内容が場所に制限されない

これまでの2つは主に社員側に大きなメリットのある内容でしたが、この「場所に制限されない」は、企業側にも、社員側にもメリットがある事かと思います。
企業側は、社員の居住地に関わらず自社に適した優秀な人材を雇用できますし、社員側は、会社の所在地に左右されずに自らのキャリアや希望する条件にあった企業を選ぶことができます。
例えば、東京にある会社でも、大阪や福岡にいる必要な人材を採用して一緒に仕事ができますし、逆のパターンなどもあり得るでしょう。

自らのペースで必要な仕事ができる

例えば持病などでどうしても会社に出勤して労働することが難しい方でも、在宅勤務であれば自分のペースで働けるので、充分なパフォーマンスを発揮することができます。また、近年増えてきている気温によって体調が悪くなる…といった方の場合などでも、出勤途中やオフィスの冷暖房などの影響を大きく受けずに、自分の性質にあった環境で仕事に取り掛かることができますね。

在宅勤務のデメリット4つ

さて、ここまで素晴らしいメリットを4つ紹介してきました。
ただ、メリットが大きいと思われがちな在宅勤務ですが、実際にはデメリットも存在します。どんなデメリットがあるのかについて解説していきましょう。

自己管理がとても大事!

やはりまずはこちらでしょうか。会社で仕事をしていても当然自己管理は必要ですが、ご想像の通り在宅勤務の場合は特に重要になってきます。自宅で仕事をするのでメリハリがつけ難く、パフォーマンスが下がらないよう、自分でルールを決めて仕事をするなどの対策を施す必要があります。

自宅での仕事環境を整えるのが大変

多くの場合、自宅でのパソコンを使っての作業や、インターネットを通じてのファイル送信など、パソコンとインターネット環境は最低限必要なものになってきます。また、仕事を行う際のデスクなどの家具なども用意する必要があります。

企業や業務内容によっては業務システムなどのソフトや社内ネット―ワークへの接続環境を整備する必要もあるでしょう。

在宅可能な業種が限られる場合がある

小売業や宿泊業、飲食サービス業などの業種の場合、ほとんどの社員がそこに訪れる顧客に対してサービスを提供していますので、在宅勤務できる業務はあったとしても非常に限られたものとなってしまいます。
農業・林業、漁業や建設業、製造業の場合も場所が限定される業務が多く、在宅勤務は難しいでしょう。

これら業種の中でも事務職に従事する方や、士業やIT・通信業などの場合は、環境によってはその場所でなくても勤務が可能な場合がありますので、在宅勤務への移行が可能と言えます。

光熱費がすごくかかってしまう?

どうしても今まで会社にいた時間帯に自宅の電気や空調などを使い、パソコンの電源などを取る必要がありますので、その分の光熱費はかかってしまいます。
ただ季節によって差があり、エアコンなどを利用する機会の多い夏や冬は、光熱費が上がる傾向にあります。電源のON/OFF時に最も電気代がかかりますので、つけるならずっとつけっぱなしにしておくなどの対策が必要でしょう。
とはいっても、在宅のメリットと光熱費の上り幅、どちらを優先するのか?は皆さんの気持ち次第かもしれませんね。

導入事例と在宅ワーカーの声

在宅勤務のメリット・デメリットについて理解できたところで、実際に在宅勤務を導入している企業や在宅ワーカーの方が、どのように感じているのかも見ていきましょう。

在宅勤務を導入した企業の例

まずは導入した企業が、どのようなことに成功し、どういった課題を感じたのかについて解説します。最初は、広くテレワークを導入した事例です。

株式会社パソナ

【在宅勤務率】
5割の従業員に対し、概ね週2~3日のテレワークを実施されています。

【対象の社員】
一定程度、裁量権を持っている者を対象に完全在宅勤務を許可。
特に、同居家族の看護・介護を必要とする場合や、母体保護を含む健康上の理由により、通勤に負荷がかかる場合は、優先的に制度の利用を適用。

【主な取り組み】
全社を対象にOffice365を導入することで、ファイル管理やコミュニケーションの高度化を推進し、モバイルワークの推進にも成功しています。
Office365とあわせ、業務システム等のクラウド化やスマートフォンやタブレット等も活用し、オフィス外でも一定業務を可能にすることで、移動中や空いた時間を効率的に使うことができ、業務の生産性が高まりました。さらに、クライアントや社員間コミュニケーションスピードが上がり、顧客対応力の向上に結びついています。
他にも、所属オフィスよりも居住地の最寄りにオフィスや提携関連施設がある場合は、サテライトオフィスでの勤務を可能にしており、社員の通勤負担や、企業の通勤費の縮減に成功しています。

またサテライトオフィスを利用することで、通常あまり関わりのない部署の社員同士のコミュニケーションの機会も増え、新規事業を立ち上げる、といった効果も生みました。

株式会社ミサワホーム総合研究所

先程の事例は、大企業だから在宅勤務が実現できたのでは?といった疑問も浮かぶかと思いますが、従業員数100名前後の企業である株式会社ミサワホーム総合研究所でも在宅勤務を実施し、施策に成功しています。

【対象の社員】
課長から一般社員まで、週1~4日の在宅勤務を実施。

【主な取り組み】
在宅勤務実施に際し、統合メッセージングサービスを活用。社内コミュニケーション、在席確認、一体感醸成、会議実施に利用しています。
また、在宅勤務者は、自宅の無線環境か会社貸与のポケットWi-Fiにてネットワーク環境を用意されています。
在宅勤務時は、就労Webで始業・終業時の日報報告を行うルールとすることによって、労務管理をできるようにしました。
最も大きな効果としては、住宅系の研究機関としての専門性を活かしながら、自社ビジネスの展開に向けて、在宅勤務についての新たな知見を得られたという点であり、担当者は、自社での在宅勤務の実施により、今後何を研究、調査すべきなのかの方向性が見えたと感じているとのことです。
その他にも、以下のような効果を得られたそうです。

  • 全社的にテレワークの認知が高まった
  • 病気や不測の事態に有効
  • 業務の見える化によるコミュニケーションロスの削減
  • 業務効率の向上
  • 普段からの働き方の見直しと改善のきっかけになる
  • セキュリティ意識の向上
  • Webツールの有効性が承認された
  • 通勤時間の削減
  • 家族との時間の確保(行ってらっしゃい、おかえりなさいが言える)

事例から見られるように、完全な在宅勤務を実現するには、通常業務として行っている仕事をオフィスでなくてもできる環境をいかに整えていくかが、鍵と言えるでしょう。

出典:総務省ホームページ
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/telework/furusato-telework/search-case/pdf/10-28.pdf
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/telework/furusato-telework/search-case/pdf/03-22.pdf

在宅勤務経験者の感想

次に、在宅勤務を実際に行ってみたワーカーの方の声を3つ紹介します。導入を検討している方も、今から自社が導入するかも、という方も、ぜひご覧になってみてください。

  • H.S.さん(東京都/酒類専門商社/営業事務/31歳/女性)

在宅勤務のメリットは、子どもをみながら仕事ができる・仕事の合間に家事ができる・通勤がないので、身体的精神的苦痛がその分ない事です。
ただ、子どもを見ながらと言っても、子どもが小さいからいつも大人しくしてくれるわけではないので、仕事のウエイトを落としてもらっており、とてもありがたいです。この制度を取り入れてくれた会社に心から感謝してるし、その分できる限りしっかり働こうと思っています。

企業の考えとしては、離職率の増加から、出産育児介護等で社員のライフスタイルが変わっても社員が長く働ける会社を作りたいという考えから在宅制度導入に至ったそうです。
また、会社が銀座付近なので、2020年の東京オリンピックで出社しづらくなることも想定して、との事でした。

  • Y.A.さん(東京都/IT・通信業/SE/29歳/女性)

業務内容は「システム設計、テスト、お客様サポート」など。
在宅勤務のメリットは、お化粧をせずに済む、満員電車に乗らなくてよい、静かだしリラックスも出来るので集中できる、会社の什器(椅子など)が合わないが自宅なら問題ない、サービス残業がない、といった事があります。
人と関わらない(打合せの必要のない)システム設計などの仕事をまとめておき、週1回家の静かな環境で集中して処理できるようにしています。

会社は、各社員の自律的な業務の実施、遂行、ワークライフバランスの成立を目的とし、「テレワークの推進を図ることにより、社員の士気高揚と併せて健康増進に資し、≪活気あふれる経営風土≫の醸成を目指す」ことを目的として導入。

  • M・Mさん(沖縄県/出版業/営業職/31歳/男性)

在宅勤務の日数は週2回で、体調を崩してしまったために一時的な在宅勤務を行っている状況です。
最も重要なメリットとしては、やはり出勤や退勤の時間がなくなるため、労力を大事なところのみに使う事ができるようになったことです。
出勤前の準備なども含めると、1日2~3時間程度の時間を節約できますので気持ちが楽ですし、体を気遣って休息をとる事もできます。
また、出勤時よりも業務を自分のペースでこなしていけるのも、自分には合っていました。

会社としては、基本的には自分のように体調を崩したり、出産・育児などの理由がある社員のみを対象としていますが、快く許可をしてくれるだけでもとてもありがたいと感じている社員は多いと思っています。

まとめ

在宅勤務のメリットとあわせ、導入事例、在宅ワーカーの声を紹介しました。

通常業務をすべて在宅に置き換えるとなると、社内ネットワークへの接続や、業務システムのクラウド化など、一気にハードルが高くなってしまいますが、導入事例にも出てきた、Office365などといったクラウドサービスを導入すれば、資料作成やメールのやり取りなど、の業務を在宅勤務に置き換えても問題ない部分が増えるかもしれません。

試験的に在宅勤務を実施するだけでも、従業員の皆さんの働き方の意識が変わってきますので、導入をお悩みの企業担当の方は、まず1ヶ月、週1などから在宅勤務を試用してみてはいかがでしょうか?

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